ディスプレイデザインと空間演出
空間演出はディスプレイデザインの最も大きな特徴である。仙台七夕まつりでは、色とりどりの大きな笹飾りが中心部のアーケードやその周辺の商店街を彩る。この祭りは江戸時代にまで遡る年中行事だが、まさしく空間を使ったディスプレイ装飾である。
一方、ハウステンボスはオランダの風景をそのまま持って来たように作られている。異国の風景を見せるこれもまた、ダイナミックな空間演出といえる。ところが、ハウステンボス自体はディスプレイデザインとはよばれない。むしろ建築群の一つだ。ディスプレイデザインはさまざまなデザインの応用であり、建築もその一つだが、その違いが少しある。それは、「仮設」という特殊性だ。
仙台七夕まつりは3日で終了し、笹飾りは撤去される。それなら坂茂氏の紙管を使った紙の教会やログハウスといった紙の建築も仮設ではないかと言えそうだが、それらは「見せる=showing」を目的としていないので、建築の領域だろう。ただ、2000年のハノーバー博の紙のパビリオンは見るべき素晴らしい美しさだった上に、博覧会の期間や性質からするとディスプレイデザインの要素も含まれるが、それは革新的な建築であり、ディスプレイデザインに建築的要素が含まれることを意味する。
イタリアの巨匠、エットーレ・ソットサスの手にかかれば、たいていのデザインは見せるパワーを内在する。「自分にとって、建築とデザインには特別な違いはない。それらは発明のステージが違うだけだ」といったように彼の建築は、一風変ったインテリアや工業製品と同じようなものだった。約60万円($5,500)の吹きガラス花瓶も2018年に10億円以上で($980万:家具もエットーレ)売りに出されたハワイのオラブエナガ邸もエットーレの趣味が反映されている。見せようとするパワーを発揮するエットーレの作品には、ディスプレイデザインの要素がふんだんに盛り込まれているが、それは実用であり、仮設ではない。しかし、仮設か常設かも違いはあるが、ディスプレイデザインに建築的な要素も含まれる典型的な事例である。
福岡の人間なら知っている人もいると思うが、福岡ドームのデザインにはエットーレ・ソットサスのプランも盛り込まれている。最初の「ツインドーム計画」通りに進んでいれば、個性的なもう一つのドームができていたはずだ。
ヨーロッパのカトリックに見られるゴシック様式やロココ様式、ポルトガルのアズレーション(装飾タイル)による絢爛豪華なインテリアはどうなんだろう。例えばポルトガルの聖フランシスコ教会は、金泥細工とよばれるデコレーティブなバロック様式に満ちている。
また、日本の寺院における金ピカの荘厳具(しょうごんぐ)も信仰の道具としてだけでなく、その雰囲気をつくる。あるいは、大仏をはじめとする仏像も拝むだけでなく眼を惹きつける魅力がある。もともと仏像は経典などの文字が読めない人たちに"見せる"、"示す"ためにも必要だった、と何かで読んだ記憶がある。その点からいうと、宗教的なそれらはディスプレイデザインと同じ側面があるが、これもまた仮設ではない。
辻 惟雄氏の「かざりの日本文化」によると、宗教の装飾で用いられる「金」は圧倒的な力を持った光であるという。つまり金は神を表している。全くディスプレイデザイナーの及ばない世界だ。ポルトガルの聖フランシスコ教会の装飾には300kg以上の金粉が使われているという。さらに奈良・東大寺の大仏には約400kの金箔が貼られているそうだ。
仮設性を持ったディスプレイデザインは「張りぼて」と言われる場合もある。節分の時のコトバンクによると、「張り子で、ある形に作ったもの。」とある。近所の神社に節分の時、山門に建てられる大きなお多福の面はまさしく張りぼてであり、シーズンディスプレイの一つに違いない。これも宗教の範疇だが、前述の金ピカ装飾と違って、ディスプレイ業の仕事である。
しかし「(比喩的に)見かけは立派だが、実質の伴わないことやもの。」の意味もある。この使い方は、造形の中でも、どこか偽物くさいし下の方に見られている。木下直之氏の『ハリボテの町』に出てくる書き割りの宮殿ホテルやパチンコ屋の屋上に立つエッフェル塔はディスプレイの一手法だ。そういえば、2000年前後に福岡市近郊では、いくつかの宮殿パチンコ屋がスタリッシュに変わっていった。あれも建築技術を使ったディスプレイデザインの要素が大きい。理由は分からないが、時代に合わなくなって陳皮化に気づいて建て替えたのかもしれない。
仮設はtemporary。con(共に)の接頭語がついてcontempary。仮設から一挙に「現代の」「同時代の」の意味になる。そして、ディスプレイデザインは発案のどこかで同時代を探し求めている。仮設だが刺激的な新しい何か。だから、それらに関わったのはディスプレイデザイナーではないと信じたい。
書き割りの宮殿ホテルも屋上のエッフェル塔も建築時は、その時代のセンスが時代の経過と共にハリボテらしさを発揮しているのかもしれない。陳腐化に気づかない田舎に行けば、お城や宮殿型のパチンコ屋も残っているかもしれないが、あとは、レトロと呼ばれるまでの持久戦だ。
常設の建築であっても、ディプレイデザインには時代と共に陳腐化する恐れがある。このサイトで使っている写真も数十年前のものが大部分だ。ある意味、張りぼての集大成というわけだ。
Space Environment Design
空間演出の設計・デザイン・製作
業務内容 |
1)壁面グラフィックのデザイン・製作
2)空間環境の製作・デザイン
3)小規模店舗の設計・製作
4)ウィンドーディスプレイやシーズン装飾
5)イルミネーションのデザイン・現場施工
2.空間環境の立体デザイン・製作
百貨店に代表されるウィンドディスプレイは、商業施設等で外部に向けて商品やサービスのイメージを訴求し、店内へ誘引する手段であり、ビジュアマーチャンダイジング(VMD)の一手法である。店舗の顔としてだけでなく、景観づくりの側面もある。
ショーウィンドーディスプレイ(ストアウィンドー)は、1800年後半に幅広の窓ガラスが発売されるようになって始まった。同時に「ウィンドーショッピング」という言葉の始まりでもあるという。
わが国では、1896(明治29)年に高島屋が京都拡張工事に伴い、日本初のショーウィンドーを設置したとされる。東京では白木屋が1903(明治36)年、その翌年に三越、1906(明治38)年に松坂屋の順で設置した。(『百貨店の時代』西谷文孝)
1909(明治42)に発行された『小売商店繁昌策 : 進歩的経営法』の中で石井研堂は市中の店舗のたくさんの場所で「飾窓(ショーインドー)」がされていると述べ、百貨店の誕生から間も無く、ショーウィンドーは効果的なマーケティング手法の一つと認められていたようだ。
ウィンドーディスプレイの重要性と役割は、その有無を想像するだけでもわかる。店舗が販売している商品のジャンルや種類を知ることができるだけでなく、ブランド力の違いやオーナーのセンス、ホスピタリティさえも計り知ることができる。すなわち、ウィンドディスプレイは、窓を使った情報発信装置である。
ウィンドディスプレイのデザイン技法は多岐にわたる。マネキン(リアルやスカルプチャーなど)や石膏製のオブジェ、各種金属、プラスチック、光、木材、流木や石といった自然のカタチなどさまざまな材料を使い、商品やイメージ訴求を図る。手法にはアレンジメントやデコレーション、コーディネイトなどがあり、主にマネキンレンタル業者やデコレーターによりデザイン・装飾されるが、プリンターの普及やさまざまな資材の入手が容易になったことからその領域は拡大しているように思われる。
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「ディスプレイデザインの移り変わる価値」
1)孤独な光の粒を共鳴させる
ちょっとしたセンスと予算があれば、誰でもイルミネーションで飾ることができる。イルミネーションで美しく飾られた一般の住宅地も少なくない。安価なLEDイルミやデコレートされた光のオブジェを使えば、それができる。
もちろんそうした方法を使うケースもある。しかし、ディスプレイデザイナーは、アマチュアの人たちと同等であってはならないと思うのだが、彼らの方が優れている時もある。モノさえあればあまり変わらない時代になった。
規則性のある光は美しい。光同士が響き合う。ランダムな光の塊は物足りなく思えてくる。光が光を呼ぶ。一粒の光は孤独だから並べたり、固めたりして共鳴させる。イルミネーションのデザインに悩んだら、そう考えることにしている。
2)豊富な種類のイルミネーション
既成のイルミネーションも優れている。色、形、クオリティに豊富な種類が買える。もうかつての星や雪、ベルではない。
イルミネーションの動きもさまざまだ。流れるように光るストリームラインや滝のように落ちるドロップタイプの種類にも幾つかのパターンがある。
今日では、中国などからガーランドやオーナメントといったクリスマスの定番デコレーション用品も豊富な種類が輸入されるようになり、クリスマスのデザインも楽になった。
あまり大きくないツリーはホームセンターで販売されるほど流通している。人工的なクリスマスツリーの中には6mを超える既製品もある。しかし屋外で高さが4mを超える場合は、建築申請が必要な場合もあるので注意が必要だ。それから防炎処理加工されているかどうかも確認したい。
小型のツリー>タンスのゲン
大型の業務用ツリー>青山ガーデン
業務用>大西造花
クリスマスリースやガーランドは松やモミの木を模して人工的に作られている。
オーナメントのクオリティはかつてのものと比べものにならない。形もボール型だけでなくハート型、星が型、サンタ型などがある。ガラス質のボールに模様入りのタイプやグリッターを吹き付けたものなどいろんな種類が販売されている。
【請負業務】
・クリスマスイルミネーションのデザイン・施工
・クリスマスデコレーションのデザイン・施工
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