福岡の空間デザイン・空間演出

ディスプレイデザインと
クリスマスルミネーション

Briefing for Display design
ken.Egami 2020/05/13

 星の光は孤独だ。だから人は星をつないで星座を作った。
 
 規則性のある光は美しいが、ランダムな光の塊は物足りなく思えてくる。光は光を呼ぶ。一粒の光だけだと孤独だから、並べたり、固めたり、包んだりして共鳴させる。それがイルミネーションのデザインだ。
 
 当たり前だが、並べるとカタチになる。固めると生き生きする。包むと柔らかくなるのがイルミネーションの光だ。
 

 ◆
 
 世界で最初にクリスマスイルミネーション(fairy light)のビル装飾がされたのは1881年のSavoy Theatre(UK)だとされている。それから12年後の1903(明治36)年、大阪で開催された「第五回内国勧業博覧会」において、我が国最初のイルミネーションがお目見えした。使われた電球の数は6,700個。現在の大林組が担当している。その後、明治40年の東京勧業博覧会では大阪の数に対抗したのか、相当人気があったのか分からないが、当時のガイドブックから算出すると、69,821個もの電球が使われている。
 
 LEDライトの進化で青色のイルミ球も使われるようになったのは、クリスマスイルミネーションの価値を高めている。JRは駅や踏切などに青色灯の設置実験を行った。これは、鉄道での自殺防止対策だった。青い光が人の心を落ち着かせてくれるのではないかという仮説に基づいている。
 
 2012年、東京大学は、「青色灯設置により、列車への飛び込み自殺が減少」という研究結果を出している。それによれば「駅における青色灯設置と自殺者数についての2000年から2010年のデータを用いて分析を行ったところ、青色灯の設置後には自殺者数が平均して約84パーセント下落することが明らかになった」とある。「自殺を試みる人々の心理・行動に対して青色照明が持つ効果については科学的に証明されているわけではない」としているが、青色の光は見る人たちを安らかにする可能性が高い。ロンドンのガトウィック空港も日本の青色灯方式を採用し、ポイ捨てや破壊行為、DVの減少を確認している。そして、各地のクリスマスイルミネーションでは青色に統一されたイルミも少なくない。そして、たくさんの人たちが集う。
 
 クリスマスイルミネーションは妖精の光(fairy light)と呼ばれ、その儚さや希望、可愛らさといった幸福のイメージがつめこまれている。ラトガース大学(NJ.USA)による実験では、幸せな思い出を思い出す人は、お金を得た人と同じ精神的影響を与えることが明らかになった。人によっては、LEDライトのクリスマスイルミネーションは最新だが、光にはノスタルジックな幸福を感じることもあるだろう。
 
 ディスプレイデザインには空間のイメージづくりの役割もある。シッピングモールや駅前、大通りなどで展開されるイルミネーションには、クリスマスムードの提供が主だが、施設への誘引を働きかける側面もある。しかし、コマーシャルイルミネーションであっても、ディスプレイデザインには多くの人たちを幸せにできる機能もある。
 
 しかし、LED照明の光の強さや色について課題もある。例えば、青みがかった白色LED照明が人体や生態に与える影響について無視できないという意見もある。青色のスペクトル光を発するLEDライトは、生体のリズムを崩すおそれがあるという。また、眩しすぎると特に老人は交通事故につながったり、色温度によっては住民の生活環境を脅かすという問題だ。さらに、光に溢れた都市部では「天体観測に障害を及ぼしたり、生態系を混乱させたり、あるいはエネルギーの浪費の一因になる」という光害(light pollution)も指摘されている。
 
 ほど良い光で楽しんでもらえるにようにするのもディスプレイデザインの役割のようだ。
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Christmas Display,Illumination

クリスマス装飾・イルミネーション

 

業務内容

1)クリスマス装飾
2)イルミネーション装飾
3)デザイン
4)製作・取り付け

【目次】
・1.孤独な光の粒を共鳴させる
・2.豊富な種類のイルミネーション
・3.クリスマスデコレーション


5.イルミネーションのデザイン・編集・現場施工

1)孤独な光の粒を共鳴させる
 ちょっとしたセンスと予算があれば、誰でもイルミネーションで飾ることができる。イルミネーションで美しく飾られた一般の住宅地も少なくない。安価なLEDイルミやデコレートされた光のオブジェを使えば、それができる。
 
 もちろんそうした方法を使うケースもある。しかし、ディスプレイデザイナーは、アマチュアの人たちと同等であってはならないと思うのだが、彼らの方が優れている時もある。モノさえあればあまり変わらない時代になった。
 
 規則性のある光は美しい。光同士が響き合う。ランダムな光の塊は物足りなく思えてくる。光が光を呼ぶ。一粒の光は孤独だから並べたり、固めたりして共鳴させる。イルミネーションのデザインに悩んだら、そう考えることにしている。
 
2)豊富な種類のイルミネーション
既成のイルミネーションも優れている。色、形、クオリティに豊富な種類が買える。もうかつての星や雪、ベルではない。

クリスマスイルミグッズ
 <プレートライト・2Dフォルムライト等>

イルミネーションの動きもさまざまだ。流れるように光るストリームラインや滝のように落ちるドロップタイプの種類にも幾つかのパターンがある。

クリスマスイルミグッズ
<エフェクトライト・デコレーションライト等>
立体的な3Dタイプのイルミネーションも作るより買ったほうが安いかもしれない。価格も手ごろな物からハイグレードな物まで揃っている。
クリスマスイルミグッズ
<3Dフォルムライト >
クリスマスイルミグッズ
アミューズさんの立体イルミネーションには上質のイルミオブジェがたくさんある。
 
 
3)クリスマスデコレーション
 かつて、クリスマスモールは日本の主要輸出品の一つだったことは、あまり知られていないかもしれない。そしてそれは、「経木モール」と呼ばれていた。「 明治30年ごろ、仏具として使用されていた経木(木の薄皮で作られた菓子折り、弁当の箱のような材質)で作られたモールが神戸在住の外国人の目にとまり、クリスマス用品のモールとして作られたのが始まり」だという。「岡山検定」のテキストにも書かれているみたいだから、神戸の周りで製造し、神戸港から輸出されていたのだろう。

 今日では、中国などからガーランドやオーナメントといったクリスマスの定番デコレーション用品も豊富な種類が輸入されるようになり、クリスマスのデザインも楽になった。
 
 あまり大きくないツリーはホームセンターで販売されるほど流通している。人工的なクリスマスツリーの中には6mを超える既製品もある。しかし屋外で高さが4mを超える場合は、建築申請が必要な場合もあるので注意が必要だ。それから防炎処理加工されているかどうかも確認したい。
小型のツリー>タンスのゲン
大型の業務用ツリー>青山ガーデン
業務用>大西造花
クリスマスリースやガーランドは松やモミの木を模して人工的に作られている。

クリスマスイルミグッズ
 ガーランド>大西造花

オーナメントのクオリティはかつてのものと比べものにならない。形もボール型だけでなくハート型、星が型、サンタ型などがある。ガラス質のボールに模様入りのタイプやグリッターを吹き付けたものなどいろんな種類が販売されている。

クリスマスイルミグッズ
 ニトリでも購入できるぐらいに流通している。

【請負業務】
・クリスマスイルミネーションのデザイン・施工
・クリスマスデコレーションのデザイン・施工

 

ESWのイルミ
イルミネーションで模様をつくる
ESWのイルミ
 イルミネーションでフォルムをつくる
ESWのイルミ
クリスマスツリーとイルミネーション
ESWのイルミ
市販のイルミネーションを活用する
ESWのイルミ
イルミネーションの回廊をつくる
ESWのイルミ
池の反射を利用する
 
クリスマス
クリスマス
クリスマス
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