ディスプレイデザインと看板
ディスプレイ業と屋外広告業は"見せること"で何らかの情報を伝え、コミュニケーションを図る意味においては同じ目的の業種といえる。だが、日本標準産業分類によるとディスプレイ業は「サービス業」に、屋外広告業は「学術研究,専門・技術サービス業」の中に区分されているので"呉越同舟"のように思える。
屋外広告業が扱っている看板とサイン(saignage)は同義だ。signという言葉はジェスチャーや手の動きの意を原義とする。身振りによるコミュニケーションというわけだ。この原義にオーバーラップさせると、ディスプレイデザインはその人が着る服をデザインしているという考え方もできる。それならコミュニケーションも深化する。
表示によってアイデンティテーを訴求するのが看板の大きな役割だ。そう考えるとディスプレイデザインも無縁ではない。明治時代の豪華に彫刻された薬屋の金看板はそれを物語っている。
しかし、設置環境やブランドの程度によってはシンプルで分かりやすい方が機能的だ。おしゃれなショップが立ち並ぶサインの多くもシンプルでわかりやすい。でもショップの個性は伝えたい。そこでディスプレイの役割を担っているのが素材や背景、照明であり、そうした商業地区ではセンス良く使われている。そうなると、やっぱりサインもディスプレイの一種じゃないかと思ってしまう。
大局的に見れば、看板はコミュニケーションの一媒体である。ビルに貼られた広告サインを見て面白いと思ったり、なんか変と感じたりする。上品にデザインされた看板を見ると、良いモノを置いていそうだと思う。また、社名だけの看板でさえも、その場所を探していた人を安心させる。コミュニケーションという言葉は許容量が多く、都合の良い言葉だが、『新社会学辞典』に従えば、これら全てはコミュニケーションである。
看板の中で、最もコミュニケーションを感じるのが「サイドウォークサイン」だ。日本ではA型看板や黒板スタンドなどとよばれている、ショップ前に置かれた小型看板である。A型看板というのは40年以上前からよばれていた業界用語だ。もう少し効果的な名称が欲しいと思う。それに似たのがお寺の前の掲示板だが、これにもこれといった用語があるわけではなく、そのまま「お寺の掲示板」とよばれている。
最近はチョークアートが流行っていて、凝った黒板看板も見かけられるようになった。黒板型のサイドウィーク看板は、チョークで文字が書ける。ビジュアルコミュニケーションが見た側の想像による応対なのに対し、文字によるコミュニケーションは、伝えたい人の意向を確実に伝える。そして手書きならでは風合いには、読み手との距離を近づける。だから、レスポンスも弱くない。飲食系の多くでは営業時間やメニュー板として使われているように思う。それを見て入店する人もいるだろう。
サイドウォーク看板はお客さんを誘引する魔法のような役割がある。福岡の中心部のショップ前にもたくさんのサイドウォークサインが出されている。とあるショップの前の看板に書かれていたのは「なぞなぞ」だった。そして「わかったら飴あげる」と書かれていたが、そのまま通り過ぎた。それから何十メートルか歩き、答えがわかった。その時点で僕は魔法にかかっていたのである。ショップに入り飴をもらった。販売している商品には興味がなかったのでお客にはならなかったが、質問だけはさせてもらった。「このクイズ看板で入ってくる人はいる?」「結構いますよ。」と店員は応えた。
ポイントはキャッチコピーとイラストだ。例えば梅雨時に、「梅雨に入りました。お体に気をつけて。」などという季節のご挨拶文から、「どうしら白い歯になれるの」、「ヘアケアのうそ・本当」といった専門家としての情報提示、「ミジキチをご存知ですか?真面目できちんとした人の略です。」といったつっこみどころ満載のキャッチコピー、バーカウンターに座る猫のイラストを使った四コマ漫画になっていて、ウィスキーくださいと言う。それをこぼす。そして、おかわりちょうだい。」など、その表現は多種多様だが面白い。
藤村正宏氏の『「高く売れ!」「長く売れ!」「共感」で売れ!』の中に久留米の人が紹介されていて、自分の顔を出して商品を紹介するPOPで売り上げが600%になったというのもある。藤村氏によれば「スペックの説明よりも、お店の人が個を出してすすめることが効く」という。要するに個性的なサイドウォークサインはお客さんを誘引する魔法の看板になる。
「優れたコミュニケーションは、ブラックコーヒーと同じくらい刺激的で、寝付けられなくする」といった人がいる。そこまでグサッと刺さる言葉を考えられれば、コピーライター級だが、あまりひねらないぐらいが丁度良いように思える。仏教伝道協会主催の2018年「お寺の掲示板大賞」は「おまえも死ぬぞ 釈迦」だった。そしてバズった。サイドウォークサインも同じように通行人を相手にしたコミュニケーションの域から予想外の効果をもたする可能性がある。
ロゴマークやタイポグラフィを全面に打ち出した看板は、企業のブランディング戦略の一手法である。シンプルかつ瞬時にその場所を示すだけでなく、企業のプレステージを高める。
デザインは極めてシンプルだが、その構造や設置場所の選定だけでなく、各種法令への注意が欠かせない。
2)各種法令
・屋外広告物法
都道府県、政令市、中核市には「景観法」という条例があり、看板設置禁止区域や看板の大きさ、色、意匠(デザイン)などの制限などが定められている。
・都市景観法
都道府県、政令市、中核市には「景観法」という条例があり、看板設置禁止区域や看板の大きさ、色、意匠(デザイン)などの制限などが定められている。
植物の視覚効果に関する研究では、オフィスでの視覚疲労の緩和により作業の効率アップや、医療現場でのストレス軽減、緊張感の緩和、教育現場におけるストレスレベル軽減など様々な空間環境で、肯定的な生理的、心理的効果があることが明らかになっている。*1
人工グリーンの質的向上
かつての造花装飾においても種類の増加や擬似性の向上は見られたが、今日の人工グリーンはシダ植物やコケ類、オリジナル植物なども追加され、その種類及び擬似性ははるかに高くなり、供給量も多くなった。
そうした人工グリーンによるボタニカルな空間は、まるで自然をそのまま感じさせるほどだ。最近、人気急上昇のディスプレイアイテムだ。
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