ディスプレイデザインと
販促イベント
販促イベントは文字どおり商品やサービスの販売促進を目的とするイベントだ。セールスプロモーション(SP)とも呼ばれる。
セールスプロモーションの手法は多岐にわたり、主に街頭でのサンプリングや展示会、 POP広告、店内ビジュアルなどがある。ここでは特に、イベント施設、販売店、街頭などにおけるサンプリングやトライアル(試用)を通し、商品やサービスの普及を図る「SPイベント」を紹介する。
販促イベントにおけるディスプレイデザインには大きく3つの役割がある。第一に"目を引く"、第二に"ブランド訴求"、第三に"楽しめる"の3要素だが、それらは相互に影響し合う。
販促イベントではより多くの消費者に関心を示してもらう必要がある。不特定多数を相手にターゲットの抽出を行うためだ。そのため、ディスプレイデザインには人を集める装置としての機能が求められる。展開スペースではビジュアルやカラーリング、形状などが配慮、調整され"目立った存在"になるようにデザインされる。
これは、第三の"楽しめる"という側面も持ち合わせている。例えば企業ロゴや商品名などを表記した大きなゲーム機の設置はアテンションとアトラクションを兼用できる。
しかし、目を引くスタンドアウトなイベントスペースをつくるのに欠かせないないのが、テーマやコンセプトだ。何でもいいから目立てば言いというわけにはいかない。テーマに沿ってできた販促ディスプレイは全体の調和がとれていて、見ただけでイメージ訴求ができる。
第二の販促イベントにおけるブランド訴求は極めて重要だ。誰でも知っているようなトップブランドの販促イベントではブランド価値を損ねてはならない。その配慮はカラーリング、ロゴマーク、イメージだけでなくスタッフ対応にまで及ぶ。
特にロゴマークの扱いは慎重になる。カラー、大きさ、適した設置場所などのチェックが求められる。もちろんブランドを反映したクオリティデザインが前提だ。
第三の"楽しめるプロモーション"はより多くの参加を集める効果がある。主な例としてゲーム機やワークショップの開催、ステージアトラクションなどが見られる。中でも抽選型のオリジナルゲーム機はディスプレイデザインの最も得意とする分野である。
また、「ユーモアは洞察力溢れたコミュニケーション(Leo Rosten 米:政治家)」であるという解釈もある。趣向を凝らした抽選機やことさら目立つ抽選器といったゲリア戦略的なデザインは興味や関心を集め、衆目を集める。
こうした販促イベントにおけるディスプレイデザインは、広告業のはしりとして位置付けられる明治時代の「広目屋」の考え方とあまり変わらない。
シルクハットの帽子をかぶった役者、商品名の入った太鼓、びらびらのついた派手な格好などで街頭宣伝したパンの木村屋。何人もの楽士やのぼりをしたて、チラシや見本の袋を配りながら行進したライオン歯磨のプロモーション。考え方は同じでも、時代変われば表現も変わる。
Sales promotion set design and fabrication
販促イベント会場の設計・デザイン・製作
業務内容 |
1)セールスプロモーションのためのセットデザイン・製作
2)簡易的プロモーションセットの開発
3)インパクトのあるプロモーションセットのデザイン
4)店舗内販促セットのデザイン・製作
セールプロモーションの設計から現場設営、管理、撤去まで
セールスプロモーションイベントとブランド
セールスプロモーションイベントは販売促進のためのマーケティング手法だが、企業ブランドのプレステージ(存在感)や発信力、社会とどのようにかかわる企業であるかといった企業ブランド訴求の役割もある。
企業ブランドは、イベントスタッフの対応だけでなく、ディスプレイデザインによっても表出され、受け手からの評価を得る。ディスプレイデザインでは、第一に企業や商品のカラー、ロゴマーク等の扱いに注意する。再現性や効果的な設置場所などがある。第二にインタラクティブ性の有効活用だ。イベントの双方向コミュニケーションという特性をディスプレイデザインに反映させる。例えばゲーム(機)やハンズオン(hands on)展示の発案、スマホの写真機能との連携などがある。
※ハンズオン展示は、参加者が触って楽しめる展示方法
優れたディスプレイデザインは、体験や装飾イメージによってブランドイメージを強く焼き付けることができる。
【請負業務】
・セールスプロモーション(以下SP)イベントの会場設計
・SPイベントの設営及び撤去
・SPイベントの構成発案
・SPイベントに使用するゲーム機等の製作
・プランニングのイメージ化(パース等)
・SPイベント時の美術管理
【利用資材】
・木工により新規造作
・レンタルパネル(6尺、7尺、8尺パネル)
・経師(表具)及びプリント貼り
・システムパネル(オクタ)
・壁面グリーン装飾
・レンタル鉢植え
・ステージ(箱馬・イントレ)
・規格カウンター
・規格テーブル
・各種プリントサイン
・切り抜き文字サイン
・スポット等電気工事
・床材(パンチカーペートや長尺シート)
・什器
・備品等各種レンタル
簡易タイプやレンタル品の使用、持ち回パックでコストを抑える
1)SPイベントの費用対効果
セールスプロモーションイベントのディスプレイ製作コストは、その規模が大きくなると増えると考えて良い。その費用対効果はしばしば議論され、その計算方法もあるようだが、不特定多数の人を相手にするSPイベントは、その計算も難しいのかもしれない。
だからというわけではないが、セールスプロモーションに積極的な企業は、規模の大小を組み合わせ、年に複数回実施する。それはコストだけでなく、商品やサービスの内容、ターゲットの層、出展の機会なども影響していると考えらえる。
2)コンパクトなSPイベントタイプ
SPイベントのディスプレイデザインは一様ではないで一概にはいえないが、看板、商品台、バック(背景や間仕切り)の三つは必要に思われる。看板には商品イメージやイベントメッセージ、商品台はトライアル(試用)、バックには企業のロゴマークや商品イメージなどがデザインされる。
折りたたみや分解できるように作られていて、ワゴン車であれば十分運べる大きさだ。市販品も利用できるし、オリジナルで製作する場合でも、組み立て式で設計される。製作費はイニシャルコストだけ。コツを得れば素人でも組み立てが容易で、何度も使える利点がある。
3)レンタル品を上手に使う
コンパクトタイプより広いもスペースを使うSPイベントで、製作コストの圧縮を図るなら、レンタル品を使用する方法がある。経験上、この方法でのSPイベントは多い。
レンタル品の主な種類には、アルミトラスや展示用パネル、カタログスタンドやサインスタンド、映像機器(液晶ディスプレイやデジタルサイネージ)、ゲーム機器、椅子、テーブルなどがある。
タイトルバックや説明パネルは最初に制作する必要がある。また、運搬や組み立ては、工芸会社等がベスト。
3.インパクトのある造作物で話題性づくり
「ユーモアは理論的に扱われないが、即効的な経験として、知覚を変えるための最良のガイドとなる」
Marshall McLuhan
1)SNSのネタづくり
イベントとSNSの連携はプランナーの常識だ。いわゆる「インスタ映え」を狙ったコーナーデザインをする機会も多い。
巨大なディスプレイには存在感がある。多くの人の目を引く。理由はわからないが、大きなモノには発信力がある。写真を撮る価値をも発信している。そもそも、ディスプレイとイベントの特性の一つが「非日常性」だ。
2)ゲリラ広告
ゲリラ広告(Guerrilla Marketing)とは、低コストで型にはまらないアイデアで高い効果を生み出す広告戦略である。屋外広告の露出により注目を集める傾向がある。Jay Conrad Levinsonの『Guerrilla Advertising』を初出とする。
事例はクリエイティブ・ゲリラ・マーケティングの
『122 Must See Guerilla Marketing Examples』を見るとたくさんある。
例えば、エスカレーターの降り口にワニ園があるような光景は、体験した人に強烈なインパクトを与える。ゲリラマーケーティングの対象は大きく2つに分かれ、一つはブランド名の訴求、もう一つは商品PRだ。
その効果について、Marketing 91が述べているのは次のようなことだ。
1)低コストで実現できる(ただし相当機転のきくアイデアが必要)
2)ターゲットが広げられる。=幅広い消費者を対象にできる
3)印象を長く記憶してもらえる=潜在意識を刺激する
4)売上が上がる=少ない投資で利益ガッポリ!
ご相談あれば、ご連絡ください。
4.量販店での販促キットづくり
1)店頭POP
店頭POPとは、店舗における簡単な商品広告だが、Point of purchase advertisingの点からいうと、店内の販促用キットも含まれる。いわゆるPOPは、手書きで作成されることによりコストパフォーマンスを高め、利便性を発揮できる。しかし、パソコンとプリンターの普及により、今時手描きできる人も少なくなった。
僕たちはそうしたPOPではなく、店内での商品展示用POPをデザインする。これがあれば売れるのかという保証はない。しかし、少なくとも来店者の目を引くのは確かだ。そのことにより商品ブランドの思い出し効果や認知度を高めてくれる。
フロアーの上に置くスタンドタイプのほか、陳列棚を利用したプロモーションPOPがある。
2)モバイルプロモーションキット
プロモーションPOPの展開は、量産タイプと数個のキットを持ち回るシングルタイプがある。量産タイプは文字通り、たくさん作り、多店舗にばらまく方法である。その多くは、エンド装飾として使われたり、ゴンドラの途中に吊り下げるなどの方法で設置される。
今日、小型のデジタルサーネージによる映像と音声(店舗によっては制限がある場合も)による訴求が加えられるケースが多い。単なるプリントとデジタルサイネージの注視時間の差は格段に違う。(こちらの説明がよくわかる→)
結果的に、コストの問題になるのだが、上述のように、商品の思い出しやブランド訴求効果がある。マーケティングは、人の記憶との戦いでもある。TV・CMの効果がリピートでできているように。
5.イベント装飾における実施までの流れ
1)打ち合わせ
・アイデアや規模などについてブレストします。
2)イメージパース提出
・完成予想の姿を絵に描いて確認します。
3)イメージの修正
・修正は何度か続きます。
4)図面提出
・製作図を作成します。
5)確認と了解
・修正が何度か発生します。
6)発注を受けてから専門の業者に発注します
・木工、サイン、電気、特殊造作、商品の購入などを行います。
7)製作管理
・途中でそれぞれの業者で進みぐあいや出来具合いを確認して回ります。
8)現場設営
・事前に忘れたものがないかなど確認して、現場の段取りを組み、現場入りします。
9)運営時
・現場管理します。
10)撤去
・早く撤去できるように段取ります。
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